今野製作所は、爪付きジャッキという油圧機器の製造販売と、オーダーメード型の板金加工を中核事業とする従業員30名の中小企業である。東京の足立区にある本社工場と福島県にある福島工場、そして大阪には営業所をもっ。今回のITカイゼンの事例となる本社工場は、主に板金加工を請け負 っている典型的な町工場といってよい。

今野製作所爪付きジャッキ

1.今野製作所支援のきっかけと支援前の問題・課題

支援のきっかけは中小企業診断士でもある川内ITCが小規模中小企業のIT活用がほとんど進んでいない状況を打開するための方策の調査研究を進めていた。この調査研究の中から法政大学西岡教授が提唱する「ITカイゼン」手法とこれを実現するために開発されたITツール「コンテキサー」の中小企業への試験導入を検討していた。

今野社長も中小企業診断士であり課題を解決し、自らが求める企業の姿に近づけていくためには、業務の流れを抜本的に再構築し、かつチーム力を発揮するためのIT活用による情報共有、情報伝達の清流化が必要不可欠と考えた。受注半減の厳しい業績の中ではあったが、かねてより川内ITCから勧められて新たな取り組みに挑戦することを決意。「つなぐITカイゼン」に取り組むことにした。

課題としては次の3つがあった。

業務が属人化しており、業務の代行が困難

業務フローが複雑、担当している本人しか分らなくなっている。仕事量が増えるとオーバーフローしてしまい、応援ができないので受注を増やすことが困難。

社内業務が紙帳票とEXCELで管理されており、データの共有化・見える化ができない

販売管理、経理業務にはパッケージソフトを導入したが、多様で複雑になった生産管理等の現場ビジネスについては対応できるソフトが入手できず、EXCEL利用以外のIT化はあきらめていた。

・3か所の事業拠点間コミュニケーションが難しい

営業、技術、製造、業務の各担当者は、東京、大阪、福島の3拠点に別れている。顧客要求の把握と伝達、度重なる変更への対応など、業務機能間の頻繁で正確なコミュニケーションが求められていた。こうしたことから電子メール、グループウエアを導入するなど、基本的なIT活用は試みていたものの、なお部門間の情報の共有・伝達は上手くできなかった。

2.「つなぐITカイゼン手法」で業務改善に取り組む

「つなぐITカイゼン」手法は業務フローの背後で利用されているデータの流れのムリ・ムダ・ムラを分析して、バラバラになっている企業内データの流れを整流化することにより業務カイゼンを進める手法である。この作業を効果的に実行するためのITツールとして「コテキサー」と「Kintone」を活用して業務改善を進める方針とした。これらのITツールはユーザーが自分で業務カイゼンアプリを開発することを目指しており、当社はITカイゼン研修会などに従業員を派遣して自社で業務カイゼンアプリ開発ができる体制を整えていった。企業内データ連携には「コンテキサー」、事業所間データ連携には「Kintone」を利用し、これらを相互につなぐことにより全社のデータ連携と業務カイゼンが実現した。業務の属人化問題は過去データを蓄積し、効果的に検索できる仕組みを構築して解決した。

3.カイゼン業務

今野製作所カイゼン対策今野製作所写真図1

 

4.カイゼンのまとめ

● 売上向上。顧客価値を高める差別化ポイントに着眼
● 情報の清流化。ワンタッチパスが繋がり、ゴール(顧客)へ。
● KintoneとContexerで、業務改善と同時進行する「ITカイゼン」
● 業務アプリ間をデータ連携。つながるITの可能性!

 

5.新しい取り組み

同社は業務改善成果を踏まえて、金属加工の同業者3社による「つながる町工場プロジェクト」を2014年8月にスタートさせた。3社をまたがる業務プロセスを見える化、ルールの明確化を図り、受発注のデータ連携のみならず、インターネットを活用した生産進捗情報や品質トレーサビリティ情報の共有、見積もり段階の非定型なコミュニケーション情報の連携円滑化・迅速化など、小規模企業の連携力を高める新しいIT活用を目指している。

今野製作所URL: http://eagle-jack.jp/